自己破産

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットをどう考えるべきか?

月々の債務の返済が厳しく、自己破産を検討されている方もいらっしゃると思います。
最近はネットで簡単に情報が得られる反面、内容が不正確でサイトによって書いてあることが違うということも少なくありません。
本来であれば弁護士に相談に行くのが一番確実です。
ただ、どうしようか迷っている段階で弁護士事務所に電話するのも勇気がいるものです。

そんな方は、是非一読して、参考にしてください。

一般に言われるデメリット

自己破産のメリットは、なんと言っても借金が全額なくなると言うことに尽きます。

では、自己破産のデメリットにはどんなものがあるでしょうか。
だいたいネットの情報ではこんなことが言われています。

1 家・車などの財産を全て処分しなくてはいけない
2 クレジットカード作成やローンの利用などができなくなる
3 「官報」に氏名や住所などが記載される
4 職業制限があり、士業など一部就けない職業がある
5 連帯保証人を巻き添えにしてしまう

実際のところ

1 家・車などの財産を全て処分しなくてはいけない

については処分せざるを得ません。残念ながら残す方法はありません。
もし、家をどうしても残したいのであれば、個人再生手続きを検討することになります。

では、自動車はどうでしょうか?自動車については残すことが出来る場合があります。東京地方裁判所の取扱では自動車の評価額が20万円を下回っていれば処分の必要は無いとされます。そこで、ネット上の簡易査定のページなどで年式等を入力し査定し結果が20万円以下であれば処分の必要はありません。また、20万円を超えても99万円を超えなければ残せる場合があります。

ただし、自動車ローンが残っている場合には、評価額にかかわらずローン会社が自動車を引き上げてしまうことが出来ますので、自動車を手元に残すことは難しいです。

その他、解約返戻金のある生命保険なども解約の必要があります(ただし、解約返戻金が20万円未満であれば解約の必要ありません)。

また、会社での社内積み立て従業員持ち株会なども解約する必要があります

その他、20万円以上の評価がつく財産も処分の対象となります。

しかし、逆を言えばそのほかの日常生活に必要な財産は残すことが出来ます。たとえばテレビなどの家電製品や一般的な家具は処分する必要はありません。パソコンやスマートフォンなどもそのまま使用できます。

2 クレジットカード作成、ローン利用ができなくなる

破産の申立によりブラックリストと呼ばれる信用情報機関に登録されることにより、新たにクレジットカードが作れなかったり、ローンが組めなかったりします。発行済みのクレジットカードも若干の時間差はありますが、使えなくなります。

しかし、そもそもローンの延滞があればその時点で信用情報に事故記録(「異動」情報)が記載されます。通常は自己破産よりローンやサラ金への返済の延滞が先に生じてますので、自己破産が直接の理由でローンが組めなくなると言うことはあまりないと思われます。

事故情報の保存期間は信用情報機関にもよりますが、任意整理で5~8年、自己破産・民事再生手続きで最長10年といわれています。そのため、自己破産後10年経過すれば事故情報は削除され、クレジットカードやローンの申し込みに支障はなくなります。
ただし、自己破産時に債務があった金融機関には自己破産情報が社内情報として残っていますので、新規の契約を断られる可能性が高いです。そのため、10年経ったとしても、全ての金融機関のクレジットカードやローンの申し込みが可能になるわけではないので、注意が必要です。

クレジットカードが無くて困るのはネット通販かと思います。特にamazonでは基本的にはクレジットカード決済となっています。
しかし、クレジットカードを持ってない場合でも、スーパーやコンビニで販売しているamazonショッピングカードでの決済を利用できます。また、VISAデビッドカードは無審査で作れる場合がありますので、それを利用することも一つの方法です。

なお、クレジットカードが使えなくなるのは破産者名義のカードのみですので、家族が自分で契約しているカードは従来どおり使えます(当然ですが、家族名義のカードが破産者名義のカードを本体とする家族カードである場合には、破産者の自己破産により、家族名義の家族カードも使えなくなります)。
そこで、支払をカードを持っている家族にお願いするという方法もあります。

また、家族が自分で契約したカードをもっている場合、破産者に家族カードを発行してもらうという方法もあります。
ただし、会社によって審査の程度が違いますので、必ずしも発行されるとは限りません。特に、同じカード会社(同じ系列の会社)のカードを利用し自己破産した場合になどは、会社内に記録が残っていますので、家族カードの発行を拒否される可能性が高いです。

TV通販などの分割支払も断られることがありますので、その点は不便ではあります。しかし、TV通販は金額もさほど高額でないため、現金での一括決済をすればよいのでデメリットとしては大きくはないと思います。

また、携帯電話の通話料や端末の分割支払いの未払いがあれば新規の契約は難しくなります。
携帯電話についても現在はメジャーな3社以外にも格安なプランを提供している会社が複数ありますし、プリペイド方式の携帯電話もありますので、新規の携帯電話を入手することはさほど難しくないかと思います。
なお契約中の携帯電話は未払いが無ければそのまま使い続けることは当然可能です。

3 「官報」に氏名や住所などが記載される。

個人の自己破産の場合、官報には2回掲載されます。
各回の掲載内容は以下のとおりです。

同時廃止事案
1回目は”破産手続き開始+破産手続き廃止+免責意見申述期間告知”
2回目は”免責許可決定”

異時廃止
1回目は”破産手続き開始”
2回目は”破産手続き廃止+免責許可決定”

管財事件
1回目は”破産手続き開始”
2回目は”破産手続き終結+免責許可決定”

いずれの場合も個人を特定する記載は、氏名住所です。
それ以外の個人情報である電話番号や本籍地、生年月日、勤務先などは記載されません。

自己破産したことを他人に知られたくないというのは当然の気持ちです。
確かに、「官報」に氏名や住所などが記載されますので、官報を見れば他人があなたの自己破産を知る可能性は否定できません。
しかし、官報に目を通す人は特殊な職業の人を除いてはいませんので、官報に載ったことにより自己破産したことが知人や勤め先に知られることはほぼありません。

なお、現在は官報はデータベース化され有料サービスに加入すれば過去の記載が検索できますので、氏名や住所から過去の自己破産の記載を探し出すことは不可能ではありません。その意味からすると、自己破産の記録は一生残るといえます。
しかし、破産後に結婚で姓が変わったり、引っ越しをした場合、官報の記載は更新されません。そのため、姓や住所が変わると過去の官報の記載だけからは同姓同名(又は同名)の他人なのか本人なのかの区別はつかなくなります。
また、戸籍や住民票には自己破産については一切記載されません。

官報への記載されることのデメリットの評価は人それぞれだと思いますが、少なくとも官報への記載が原因で他人に自己破産が知られる可能性は高くはないと考えられます。

4 職業制限があり、士業など一部に就けない職業がある

弁護士や税理士などの士業の他、警備員ですとか保険勧誘員なども職業制限のある職種になります。

もっとも、免責を得てしまえば職業制限も解除されますので、一生その職に就けないというものでもありません。

ただし、古物商許可証などは、一旦許可証を公安委員会(警察署)に返納する必要があるため、免責後にあらためて許可を取り直す必要が出てきます。

また、転職などの際の履歴書に過去の自己破産歴を記載する必要はありません。また、仮に就職後に自己破産したことが判明した場合であっても、自己破産したことを申告しなかったことを理由に解雇することも法律上認められません。

5 連帯保証人を巻き添えにしてしまう

連帯保証人がいる状態で自己破産をすると、債権者は連帯保証人に代わりの支払を求めます。そもそも連帯保証人とは本人が支払えない場合の担保ですので致し方ありません。
残念ながらこのデメリットを回避する方法はありません。
迷惑をかけて申し訳ないという気持ちがあるのであれば、将来、肩代わりしてもらった額を分割ででも任意で返済することで、事後的な回復を図ることになります。

よくある間違い

ネット上でよく見られる間違いについて説明します。

1 20万円以上の現金・財産はすべて没収されてしまう

デメリットの1で挙げたことと関連して良くある間違いの一つです。
20万円以上の現金・預貯金を有している場合については、破産管財事件となり、最大99万円まで手元に残すことが可能です(自由財産の拡張と言います)。
ただし、この99万円とは他の財産も合わせた金額ですので、他に20万円以上の評価のある自動車などがあれば、その分現金として残せる額は少なくなります。

また、財産の処分の手続きも裁判所が差押などをするわけではありません。業者がいきなり家に押しかけ家財道具を持って行くということはありません。
通常は、破産申立てを依頼した弁護士の指導の下に、ご本人で処分したり解約手続きをし、代金や解約返戻金を弁護士に預けます。
それらのお金は破産申立てをした後、弁護士から裁判所が選任した管財人に引き渡され、破産手続が終了した段階で、最大99万円の範囲で返還されます。

2 家族名義の財産も失ってしまう

処分しなければいけないのは、破産者名義の財産に限定されます。
例えば、家族名義の自動車を破産者がもっぱら使っているといった場合(妻名義の自動車を夫が仕事で使っているなど)であっても、他人名義である以上、処分の必要はありません。

ただし、他人名義と言ってもローンが未済で名義がローン会社になっている場合は、処分の必要はありませんが、ローン会社が自動車を引き上げることが来ますので、自動車を失う可能性が高いです。

なお、家族名義の家についても同様です。
例えば、夫名義の家に住んでいる奥さんが自己破産したとしても、夫名義の家は何の影響もありません。
ただし、土地は破産者名義、建物は家族名義の場合、土地を処分する必要はあります。この場合、建物をどうするかも含め複雑な問題を生じますので、弁護士に対応を相談してください。

3 会社を解雇される

自己破産したことは会社に通知されることはありませんので、自己破産を理由に解雇されると言うことはおおよそ考えにくいです。また、法律上も自己破産を理由とした解雇は認められていません。

なお、自己破産により免責を得るまでは一部の職種に付くことが出来なくなりますが(デメリットの3)、その場合でも会社は異動等の措置を講じる必要があり、解雇は認められません。

4 借家を追い出される

家賃を滞納していない限り、自己破産したことは家主に通知されることはありませんので、賃貸借契約を解除され立ち退きを求められると言うことはおおよそ考えにくいです。

もっとも、家賃の未納がありこれが3か月分に及べば家主は賃貸借契約を解除することも認められます。賃貸借契約が解除されてしまえば借家を立ち退かざるを得ません。
逆に言えば、3か月分も家賃を滞納するような状況に陥る前により賃料の安い住宅に引っ越し生計を立て直すか、自己破産手続きの選択をするべきかと思います。

5 年金の受給資格が失効する

もちろん、自己破産は年金の受給資格には何の影響もありません。したがって、年金受給中に自己破産をしても、これまでどおり年金の支給は受けられます。

もっとも、未だ年金掛け金の支払い年齢であるにもかかわらず年金の掛け金を支払わなくなれば、最低納付期間未到達により、将来、年金が支給されないといったことは生じます。

6 銀行口座が作れなくなる

自己破産しても、銀行に普通預金口座(総合口座)を作ることは可能です。
ただし、カードローンは利用できません。

7 保険に加入できなくなる

自己破産と保険加入は全く関係ありません。
生命保険を初め、傷害保険は加入希望者の信用を考慮しません。
保険料の支払いが止まれば、保険契約が解約されるだけの問題です。

自己破産するにあたっては、生命保険は解約する必要があります。
しかし、破産手続き終了後に、再度生命保険に加入することは可能です。
掛け捨て型の保険、共済についても加入可能です。

8 生活保護が受けられなくなる

自己破産と生活保護とは全く関係がありません。
逆に、生活保護費で借金を返済することは禁じられますので、生活保護者又は生活保護を申請しようとする方が借金を有している場合には、自己破産することが勧められています。

デメリットをしっかり評価して

安易な自己破産の選択は望ましくはないですが、かといって、任意整理や個人再生手続きが取れる場合も限られています。
デメリットを過大評価して自己破産をためらい、その結果、体を壊したり家族不和さらには崩壊を招いたりなどしては何の意味もありません。

自己破産は人生の再出発のための制度です。

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