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私道を廃止したい

父の時代に家を建てるに際して、敷地の一部を通路として造成しています。この度、父が亡くなり、自宅の敷地と共に通路についても私が単独相続しました。ただ、自宅建物も老朽化しており建て替えを検討していますが、自宅の敷地はさほど広くないため,少しでも建築面積を確保するためこの私道を廃止して土地全体について自宅の敷地としたいと考えています。
 私が勝手にこの私道を廃止することは許されないのでしょうか?

私道を廃止できるかは、その私道の性質により異なってきます。
以下性質ごとに確認します。

1 自分のみが私道を利用している場合

  私道も私的所有の対象であり、所有者が自由に使用・収益・処分しうる権利を有しますのですから(民法206条)、私道を廃道することも本来所有者が自由になしうるのが原則です。
  したがって、道を塀やフェンスでふさぐなどして、事実上私道を廃止してしまえばそれで完了です。

2 登記簿の地目に「公衆用道路」と表示されている場合

  不動産登記簿上「公共の用に供する道路」として登記され、また、固定資産税、都市計画税について非課税となっている場合はどうでしょうか。
  不動産登記においては取引における不動産の利用経済的価値を判断する材料として「公衆用道路」という地目が定められています。登記制度は不動産取引を安全かつ確実にして取引の安全を保護するためにあります。また、「公共の用に供する道路」とは固定資産税及び都市計画税が非課税とされる要件の一つです(地方税法348条2項5号,702条の2)。しかし、これらの事情は私道の廃止について制限を加えるものではありません。
  したがって、他の観点から問題がなければ私道を廃止することはかのうであり、私道廃止後に登記上も地目を「宅地」等に変更することになります。

3 位置指定道路に指定されている場合

  私道は個人の所有地上に設置されますので、本来的には土地所有者が自由に使用処分できることが原則です。しかし、建築基準法上の道路と指定された場合には建築基準法上の規制がかかります。具体的には、その私道があることによって建物の建築が認められている建物がある(接道要件をみたす)場合には、勝手に私道を廃止することは出来ません(建築基準法45条)。

  では、該当する建物が解体されて今は更地になっているなどの場合はどうでしょうか?
  その場合、自分以外に通行する人がいない場合には、塀やフェンスで塞いでしまうことも不可能ではないですが、市町村に位置指定道路の指定を撤回してもらわないと、建物を建てる際の建坪率の計算にあたり、私道だった部分を建物の敷地として組み入れることは出来ません。
  多くの行政庁では,市町村の条例で建築基準法施行細則の中に位置指定道路の廃止の手続きが規定されています。多くの市町村の細則においては、私道の廃止に際し市町村に対する廃道の申請を要求し、しかも申請には権利者の承諾書の添付等の厳格な様式を定めています。具体的には、建築基準法45条に抵触しないことはもちろんですが、その他利害関係人の承諾を要求するなどしている例が多いです。そのため、位置指定道路に面して建物が建築されその私道を利用する人がいる場合には、私道の廃止の承諾をえることは難しいため、結果として私道を廃止することはできないと思います。

4 2項道路(みなし道路)の廃止

  建築基準法42条2項で指定される2項道路は、敷地の所有者により公道と私道の場合があります(セットバックされたことにより中心部分が公道で両端が私道という混合型の場合もあります)。通路の全部が私道の場合は私人の所有物でありますので、本来的には自由に使用処分できることが原則です。しかし、位置指定道路で説明したように、建築基準法上の道路と指定された場合には、建築基準法上の規制がかかり、その私道によって建物の建築が認められている建物がある場合には、廃止することは出来ません(建築基準法45条)。
  もっとも、区画整理事業などで新しく道路が出来てその道路により接道要件を充たすように事情が変わった場合や、以前はその私道を接道要件とする建物があったが今は取り壊され更地になっている場合には、建築基準法上の制限はかからないことになります。そのため、私道を廃止しても行政としてはこれを止めることは出来ないことになります。
  ただし、位置指定道路と同様に、市町村に2項道路の指定を取り消してもらわないと、建物を建てる際の建坪率の計算にあたって私道だった部分を建物の敷地として組み入れることは出来ません。そのため、市町村に対して2項道路の指定の取消を申請することになります。2項道路の指定の取消手続きについては、条例などで規定されています。道路を通行する人の同意を要求する地域もあります。建築指導課、道路管理課、などで手続きを確認してください。

5 通行権が設定されている場合

  廃道によって接道義務違反が生じず、かつ、廃道申請についての行政庁の手続要件を満たす場合やそもそも、建築基準法により道路として指定されていない場合であっても、当該私道について通行権を有する人がある場合,その人との関係で廃道は制限されることになります。つまり、通行権のある人の承諾が無い限り、私道を廃止することはできません。
通行権には、賃貸借契約などの債権的なもの、通行地役権、袋地通行権といった物権的なもの、判例上認められる人格権的なものがあります。

  賃貸借契約や通行地役権などは契約に基づきますので、契約書があるため調べれば分かります。
  袋地通行権は土地の形状から客観的に判断できます。
  難しいのは、人格権的な通行権に基づく妨害排除請求が認められるケースです。長年その私道の存在を前提に近隣の家の生活環境が形成されてきている場合には近隣の住民に人格権に基づく通行権が発生している可能性があります。この人格権に基づく通行権は裁判所の判決によってその存在が法的に認定されるものですので、実際に裁判が提起されて判決が確定するまでは通行権があるのかないのかがはっきりしません。
私道を通行する人がいて、その人の日常生活に不可欠な道路と見られるような場合には、廃道について承諾を得ておくことが将来の紛争を防止することになります。
 

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