私道トラブル

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私道に関するトラブルは住宅が密集する都市部では意外に多く発生する問題です。とはいえ、不動産に関するトラブル全体からみるとその数は多いとはいえず、扱っている弁護士もさほど多いとはいえません。

当事務所では私道に関する案件を多く取り扱っており、皆様のご依頼にお応えできるものと考えています。

そもそも私道とは?

私道と法律

日本の法律では道について包括的に定めた規定はありません。その代わり、それぞれの目的に応じて個別の法律が規定されています。道路法、道路交通法、建築基準法などです。
では、私道についてはどうでしょうか?実は私道について直接規定した法律はありません。
そのため、私道の問題は民法を原則としつつ、個別の法律(例えば建築基準法など)を踏まえて考えることになります。

私道の性質

個人が所有する土地が道路として使われている場合などに、その道路を「私道」といいます。 土が踏み固められただけのものから舗装されて公道と異ならないようなものまで様々です。
私道は道路として使用されていても個人が所有する土地である以上、私道の土地(私道敷)の所有者が自由に使用処分できます。そのため現況が道路として第三者の通行に利用されているとしても、それは私道所有者の好意によるものに過ぎず、土地の所有者が「通行禁止の看板を立てる」、「私道に自動車を止める」、さらには「私道を廃止して建物を建ててしまう」ことも原則として自由ということになります。

私道と第三者の通行

もっとも、私道であっても第三者の通行が認められる場合があります。それが通行権がある場合と、通行の自由が認められる場合です。 私道についてややこしいのは、通行権があることと通行の自由が認められることとは似て非なるものであるということです。

通行権は文字通りその私道を通行する権利があるということです。権利ですから通行を妨害された場合は妨害を排除する力があります。
通行権がある場合とは、通行地役権が設定されている、袋地通行権がある、その他通行を認める契約がある(債権的通行権)、場合などです。

一方、通行の自由が認められることとはどういうことでしょうか。
建築基準法で道路指定(2項道路位置指定道路)されている場合です。建築基準法に基づき道路指定されると原則として変更や廃止はできず道路としての使用が義務づけられます(建築基準法45条)。そのため私道であっても第三者の徒歩での通行は甘受しなければならないと考えられています(ただし、自動車での通行までは認められない場合があります)。
もっとも、建築基準法の道路指定は第三者に通行権までを与えるものではないため、第三者は私道を通行しても私有地への不法侵入にならない(違法ではない)という消極的なものにとどまります。第三者は私道の通行を妨害されてもこれを排除する力はありません。

ただし、最高裁判例では、位置指定道路について「現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者」は人格的権利としての通行権を有し、通行妨害を排除できるとしています(最判H9.12.18)。そのため、日常生活上不可欠の利益を有する場合には、判例上の通行の自由権を取得することになります。

私道に関するトラブルの解決にあたっては、前提として、通行権があるのか通行の自由にとどまるのか、それとも単なる好意により通行を認められていたのかを見極める必要があります。

 

 

 


 

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