不動産トラブル

私道の通行トラブルと解決方法

私道の通行を巡るトラブル

典型的なものが、これまで自由に通行できていたのにいきなり通行を禁止された、私道にはみ出して建物を建てられたため道幅が狭くなり自動車での通行が出来なくなった等です。
また、私道に植木鉢やプランターを置かれたり、自転車やバイクなどを駐められたりなどして、通行の邪魔になったというものもあります。

改善を求めることの可否

検討のスタートは、先に述べたように、通行権があるか通行の自由にとどまるのかです。
そもそも、通行の自由すらもなく、これまでが私道所有者の好意で通行できていたという場合には残念ながら文句を言うことは出来ません。これまでどおり通行したいのであれば私道所有者と通行に関して契約を結ぶよう交渉する他ありません。

建築基準法上の道路指定されている場合

建築基準法の道路指定されていても、あくまで通行の自由が認められるにとどまりますので、原則として妨害を止めるよう請求することは出来ません。そのため行政に対して道路としての状態を維持するよう私道所有者に行政指導するよう求めるくらいしか方法はありません。
 
なお、私道であっても建築基準法で道路と指定された場合には、「一般交通の用に供するその他の場所」(道路交通法2条1号)として道路交通法による規制対象となる「道路」にあたりますので、通行の邪魔になれば道路交通法76条3項で禁止する「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。 」という点に抵触します。しかし、実際のところ警察に通報しても元々が私有地だけに警察も強くは出れないというのが実情のようです。

通行の自由権が認められる場合

建築基準法の道路指定されている場合には例外的に妨害排除請求できる場合があります。最高裁判例では建築基準法42条1項5号の指定がある私道について「現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。(最判平9.12.18)」として、妨害排除請求の余地を認めています。
では、どのような場合に排除請求できるのでしょうか?
 
そもそも、妨害排除請求できる人について「日常生活上不可欠の利益を有する者」に限定しています。これはかなり厳しい基準です。”駅に行くのに近道だから”、”幹線道路に出るのに便利だから”という程度の利益であれば「日常生活上不可欠」とはいえません。具体的にはその私道を通らないと駅や幹線道路に出られないか著しく遠回りになってしまう、という状況が必要かと思われます。
 
次に,どの程度の妨害行為なら排除請求できるでしょうか。前述の最高裁判決では直接明示されてはいませんが、それ以前の最高裁判例との整合性からすると、植木鉢やプランターを置かれた、バイクが駐められている、という程度ですと邪魔ではあっても通行自体が出来なくなる訳ではないため置かれた物をどかすよう請求することは難しいと思われます。逆にバリケードなどで完全に封鎖して通れなくしてしまった場合には排除請求ができるでしょう。

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微妙なのは私道の真ん中に杭が立てられたため自動車での通行が出来なくなったというものです。前述の最高裁判例では「三〇年以上にわたり、被上告人らを含む近隣住民等の徒歩及び自動車による通行の用に供されている。」、「公道に通じる他の道路が階段状であって自動車による通行ができないため、本件土地を道路として利用することが不可欠」という事情から通行の自由権に自動車での通行も含め、妨害排除請求を認めました。このように自動車での通行の可否は私道のこれまでの私道の利用形態から自動車の通行がなされていたか、自動車の通行の必要性、自動車の通行により私道所有者が被る損害などを総合的に検討してその可否が判断されることになります。そのため、これまで自動車での通行がほとんどなかった、私道の現況からして自動車での通行に適さないといった事情があれば、通行の自由権は徒歩での通行に限定され、杭により自動車での通行が妨害されたとして妨害の排除請求は認められないことになります。

通行権が認められる場合

最後に、通行権がある場合です。この場合は通行権に基づいて妨害排除請求や損害賠償請求が可能な場合があります。もっとも、過去にあった通行権が現時点でも存続しているとは限りません。そこで、通行権がいまも存続しているのか、存続しているとしてその内容はどのようなものかを調査検討する必要があります。その調査検討にあたっては、通行権の根拠が囲繞地通行権なのか通行地役権なのか何らかの契約や合意に基づくものなのか、その後の土地の形状の変化の有無、さらには道路としての使用状況等がポイントとなります。

 


 

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